自己破産② ~メリット・デメリットについて~
自己破産というと、言葉のイメージの問題か、これだけは避けたいとお考えの方が多いように思いますが、その一方、デメリットについて正確に把握されている方は少ないのが現状です。
まず、メリットとデメリットを正確に把握していただき、そのうえで現状の債務額がご自身の返済能力と照らし合わせて支払えるものかどうかをご検討いただくべきでしょう。
メリット
やはり債務を支払わなくてよくなること。これに尽きます。
今まで返済に追われていた現金が浮いてくることになりますので、生活を一気に立て直すことができます。
裁判所から破産申立を認可され、免責決定を得ることができれば、原則としてそれまでに苦しめられた全ての支払から解放されることになりますが、自己破産においても、あらゆる債務が減額になるわけではなく、罰金や税金、公的年金、国民健康保険料など、国や自治体に納める債務の多くはそのまま支払う必要があり、また、養育費などの扶養義務に関する債務や、交通事故の損害賠償債務、犯罪被害者への弁償債務といった、他人へ悪意で加えた不法行為に基づく債務も免責されません。
デメリット
以下のものが挙げられます。
・信用情報機関に事故情報として5年間登録され、その間は新たな借り入れができなくなる
・自己破産をしたことが官報に公告され、その情報が銀行系信用情報機関に10年間保存される
・職業制限があり、一部の職業において申立から免責決定までの間は仕事ができなくなる
・生活必需品等を除く財産で、20万円以上の価値があるものは原則として処分し、換価した財産を債権者への配当に回さなければならない
・破産手続中の引越しは理由によっては制限される
・破産管財人が選任された場合、破産手続中は郵便物が破産管財人によって調査される
ざっとこのような形になります。
すべての債務整理手続において、信用情報機関への登録は避けられないものとなり、一定期間新たな借り入れができなくなります。しかし、その中でも破産手続を選択される方は、「返済のために借りなければならない」といった事態に追い込まれていることが多く、大元の原因である債務自体を支払わなくてよいとなると、そもそも借り入れをする必要がなくなるという方がほとんどですので、かえって生活としては自由が利くようになります。