支払督促が届いたらどうする?

2026/05/29 ブログ
支払督促が届いたらどうする?

支払督促が届いたらどうする?

― 異議申立の手順と「2週間」という絶対的な期限 ―

 


 

はじめに

 

ある日突然、裁判所から封筒が届く。

差出人は「簡易裁判所」。開けると「支払督促」と書かれた書類が入っている。

 

「これは何?」「無視したらどうなる?」「詐欺じゃないの?」

 

パニックになるのは当然です。でも、この書類には絶対に守らなければならない期限があります。

 

受け取った日から「2週間以内」に動かないと、給料や口座が差し押さえられる可能性があります。

 

まず落ち着いて、この記事を読んでください。

 

 


 

1.支払督促とは何か

 

支払督促は、裁判所が債権者(お金を貸した側)の申立てによって、

債務者(借りた側)に「支払いなさい」と命じる法的な書類です。

 

重要なのは、裁判所が「証拠を確認して」発行するものではないという点です。

 

債権者が申し立てた内容をもとに、書類審査だけで発行されます。

 

つまり、内容が事実と異なっていても、ひとまず送られてきます。

 

 

だからこそ、受け取った側には「異議を申し立てる権利」が与えられています。

 

この権利を期限内に行使するかどうかが、今後の結末を大きく左右します。

 

 

■督促状・催告書との違い

 

よく混同されますが、貸金業者が送ってくる「督促状」や「催告書」とは別物です。

 

あちらは業者からの手紙にすぎません。

 

支払督促は「裁判所から」届く法的書類で、無視すると強制執行につながります。

 

封筒の差出人が「簡易裁判所」になっているかどうかで判断してください。

 

 


 

2.受け取ったら確認すること3つ

 

封筒を開けたら、まず以下の3点を確認してください。

 

確認① 差出人は本当に「簡易裁判所」か

 

近年、支払督促を装った架空請求詐欺が増えています。

 

本物の支払督促は「特別送達」という特別な郵便で、

郵便職員から直接手渡しで受け取るものです。

 

ポストに投函されていたり、メール・SMSで届いた場合は詐欺の可能性があります。

 

差出人が裁判所であることを確認した上で、次のステップに進んでください。

 

 

 

確認② 請求の内容に身に覚えがあるか

 

「誰からの・いくらの請求か」を確認します。

 

身に覚えがない請求であっても、正規の裁判所からの支払督促であれば

必ず異議を申し立てる必要があります。

 

身に覚えがなくても無視してはいけません。

 

 

確認③ 書類が届いた日付

 

支払督促を受け取った日から「2週間以内」が異議申立の期限です。

 

届いた日を必ずメモしておいてください。

 

 


 

3.「2週間」を過ぎると何が起きるか

 

この期限が、この記事で最も伝えたいことです。

 

支払督促を受け取って2週間以内に異議を申し立てない場合、

裁判所は「仮執行宣言付支払督促」を発行します。

これは、強制執行(差し押さえ)を可能にする書類です。

 

 

仮執行宣言付支払督促が届いた後、さらに2週間以内に異議を申し立てなければ、

債権者は給与・銀行口座・財産の差し押さえを申し立てることができます。

 

 

まとめると、流れはこうなります。

 

 

支払督促が届く

 ↓(2週間以内に異議申立なし)

仮執行宣言付支払督促が届く

 ↓(さらに2週間以内に異議申立なし)

強制執行(差し押さえ)が可能になる

 

つまり、最短で約1ヶ月放置すると差し押さえが始まります。

 

「お金がないから無視する」という選択が、最も状況を悪化させます。

 

 


 

4.異議申立のやり方

 

異議申立は、難しい手続きではありません。

 

支払督促が届いた封筒の中に「督促異議申立書」という書類が同封されています。

 

 

手順① 督促異議申立書に必要事項を記入する

 

書類に書くのは氏名・住所と、「異議を申し立てる」という意思表示です。

 

異議申立に「正当な理由」は不要です。

 

「払えない」「金額に納得できない」「内容が違う」「時効のはずだ」など、

どんな理由でも異議を申し立てることができます。

 

 

 

手順② 支払督促が届いた簡易裁判所に提出する

 

同封の書類に提出先の裁判所が記載されています。

 

直接持参するか、郵送で提出してください。

 

 

 

手順③ 異議申立後は「民事訴訟」に移行する

 

異議を申し立てると、支払督促の手続きは終了し、通常の民事訴訟に移行します。

 

裁判所から期日の呼出状が届きます。

 

この段階では、弁護士・司法書士のサポートを受けて進めることを強くおすすめします。

 

 


 

5.「払えない」場合でも異議を申し立てる意味がある

 

「どうせ払えないのに異議を申し立てても意味がない」と思う人が多いですが、そうではありません。

 

異議を申し立てて民事訴訟に移行することで、以下のことが可能になります。

 

 

・分割払いの交渉ができる

 

裁判所の場で「一括では払えないが、月〇万円なら払える」という和解を提案できます。

 

債権者側も裁判の長期化を避けたいため、分割払いで和解になるケースは少なくありません。

 

 

 

・債務整理の手続きに入ることができる

 

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると「受任通知」が債権者に届き、

取立て・督促が法律上ストップします。

 

支払督促の手続きも止めることが可能です。

 

 

 

・時効を主張できる可能性がある

 

最後の返済から5年以上が経過している借金の場合、

消滅時効を主張することで返済義務がなくなる可能性があります。

 

この場合は異議申立書に「消滅時効を援用する」と記載した上で、

別途、内容証明郵便で時効援用通知を送る手続きが必要です。

 

 


 

6.すぐに専門家に連絡すべき理由