支払督促が届いたらどうする?
支払督促が届いたらどうする?
― 異議申立の手順と「2週間」という絶対的な期限 ―
はじめに
ある日突然、裁判所から封筒が届く。
差出人は「簡易裁判所」。開けると「支払督促」と書かれた書類が入っている。
「これは何?」「無視したらどうなる?」「詐欺じゃないの?」
パニックになるのは当然です。でも、この書類には絶対に守らなければならない期限があります。
受け取った日から「2週間以内」に動かないと、給料や口座が差し押さえられる可能性があります。
まず落ち着いて、この記事を読んでください。
1.支払督促とは何か
支払督促は、裁判所が債権者(お金を貸した側)の申立てによって、
債務者(借りた側)に「支払いなさい」と命じる法的な書類です。
重要なのは、裁判所が「証拠を確認して」発行するものではないという点です。
債権者が申し立てた内容をもとに、書類審査だけで発行されます。
つまり、内容が事実と異なっていても、ひとまず送られてきます。
だからこそ、受け取った側には「異議を申し立てる権利」が与えられています。
この権利を期限内に行使するかどうかが、今後の結末を大きく左右します。
■督促状・催告書との違い
よく混同されますが、貸金業者が送ってくる「督促状」や「催告書」とは別物です。
あちらは業者からの手紙にすぎません。
支払督促は「裁判所から」届く法的書類で、無視すると強制執行につながります。
封筒の差出人が「簡易裁判所」になっているかどうかで判断してください。
2.受け取ったら確認すること3つ
封筒を開けたら、まず以下の3点を確認してください。
確認① 差出人は本当に「簡易裁判所」か
近年、支払督促を装った架空請求詐欺が増えています。
本物の支払督促は「特別送達」という特別な郵便で、
郵便職員から直接手渡しで受け取るものです。
ポストに投函されていたり、メール・SMSで届いた場合は詐欺の可能性があります。
差出人が裁判所であることを確認した上で、次のステップに進んでください。
確認② 請求の内容に身に覚えがあるか
「誰からの・いくらの請求か」を確認します。
身に覚えがない請求であっても、正規の裁判所からの支払督促であれば
必ず異議を申し立てる必要があります。
身に覚えがなくても無視してはいけません。
確認③ 書類が届いた日付
支払督促を受け取った日から「2週間以内」が異議申立の期限です。
届いた日を必ずメモしておいてください。
3.「2週間」を過ぎると何が起きるか
この期限が、この記事で最も伝えたいことです。
支払督促を受け取って2週間以内に異議を申し立てない場合、
裁判所は「仮執行宣言付支払督促」を発行します。
これは、強制執行(差し押さえ)を可能にする書類です。
仮執行宣言付支払督促が届いた後、さらに2週間以内に異議を申し立てなければ、
債権者は給与・銀行口座・財産の差し押さえを申し立てることができます。
まとめると、流れはこうなります。
支払督促が届く
↓(2週間以内に異議申立なし)
仮執行宣言付支払督促が届く
↓(さらに2週間以内に異議申立なし)
強制執行(差し押さえ)が可能になる
つまり、最短で約1ヶ月放置すると差し押さえが始まります。
「お金がないから無視する」という選択が、最も状況を悪化させます。
4.異議申立のやり方
異議申立は、難しい手続きではありません。
支払督促が届いた封筒の中に「督促異議申立書」という書類が同封されています。
手順① 督促異議申立書に必要事項を記入する
書類に書くのは氏名・住所と、「異議を申し立てる」という意思表示です。
異議申立に「正当な理由」は不要です。
「払えない」「金額に納得できない」「内容が違う」「時効のはずだ」など、
どんな理由でも異議を申し立てることができます。
手順② 支払督促が届いた簡易裁判所に提出する
同封の書類に提出先の裁判所が記載されています。
直接持参するか、郵送で提出してください。
手順③ 異議申立後は「民事訴訟」に移行する
異議を申し立てると、支払督促の手続きは終了し、通常の民事訴訟に移行します。
裁判所から期日の呼出状が届きます。
この段階では、弁護士・司法書士のサポートを受けて進めることを強くおすすめします。
5.「払えない」場合でも異議を申し立てる意味がある
「どうせ払えないのに異議を申し立てても意味がない」と思う人が多いですが、そうではありません。
異議を申し立てて民事訴訟に移行することで、以下のことが可能になります。
・分割払いの交渉ができる
裁判所の場で「一括では払えないが、月〇万円なら払える」という和解を提案できます。
債権者側も裁判の長期化を避けたいため、分割払いで和解になるケースは少なくありません。
・債務整理の手続きに入ることができる
弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると「受任通知」が債権者に届き、
取立て・督促が法律上ストップします。
支払督促の手続きも止めることが可能です。
・時効を主張できる可能性がある
最後の返済から5年以上が経過している借金の場合、
消滅時効を主張することで返済義務がなくなる可能性があります。
この場合は異議申立書に「消滅時効を援用する」と記載した上で、
別途、内容証明郵便で時効援用通知を送る手続きが必要です。
6.すぐに専門家に連絡すべき理由