おまとめローンについて。こんな場合は要注意。
おまとめローンというものをご存知でしょうか。いろんな業者からの借入額に相当する金額をひとつの業者から借りて、そのお金で各業者の借入をまとめて返済してしまう、いわば借り換えのことを指します。
何と言ってもネーミングがキャッチーでとっつきやすく、まとまった借入金額なので金利もいくらか安くなり、バラバラだった返済日もひとつになって管理もしやすい、まさしくまとめて何とかしてくれそうな、いいことづくめのように聞こえます。
しかし、このおまとめローンを組んだばかりに生活が立ち行かなくなる事例も数多く発生しています。今回はそんなお話です。
おまとめローンをご検討される方のほとんどが、各社へ毎月支払っているのになかなか減っていかなくて困っているという状況です。ここで「今借りている業者は追加で利用しておらず、返済のみ」という状況ではなく、「各社へ払ってはいるが、追加の利用も続けている」という方は、おまとめローンを組むと危険だと思っていただいてよいでしょう。
各社へ返済 → 手元の現金が少なくなる → 不足分はカードで支払い、というやや悪循環になってしまっている方がおまとめローンを組んだ場合はどうなるのでしょうか。
これまで4社に返済していたものが1社になります。そう聞くと楽な気がしますね。1か所を支払ったがばかりに現金が足りなくなって、そのお金をまた借りて次の業者に返済する、なんてこともしなくてよくなります。
ですが待ってください。そもそも1か所を払って、そこでお金が足りなくなって次の返済のために借りるということは、借りたお金で次の業者に返済しているわけですから、自己資金のみで返済をしているわけではないのです。ここを見落としておまとめローンを組んでしまうと、非常に苦しいことになります。
毎月の返済が4社に2万円ずつ。生活が厳しいので、2万円返して1万円借りる。また次の業者に2万円返して、1万円借りる。毎月8万円は苦しい、でも、この返済が5万円になるのなら、と思っておまとめしてみたものの、やっぱりどうも苦しい。なぜかギリギリになってしまう。
それはそうですよね。これまで8万円のうち、4万円は自分で用意していたものの、残りは業者から借りていたわけですから。毎月用意する額が事実上1万円上がってしまっているのです。これは8万円払ったがばかりに生活費が足りなくなり、カードショッピングで埋めていた方も同じです。
おまとめローンは基本的に追加借り入れができず、返済のみのプランとなります。自分では8万円払っているつもりでしたから、毎月1万円ずつ不足することに気付かなかった、さてどうしましょう。
ここでおまとめローンによって完済した業者を思い出し、そこから借り入れをする方が非常に多いのです。しかし、そもそもおまとめローン自体が払えなかったわけですから、その借入を返済する資金はありませんので、また別の業者から借りてしまいます。結果、おまとめローンとは別に、ほぼ同額の借入が増えてしまいます。
また、おまとめローンを打ち出しているのは銀行が多いです。ただし、銀行が個人に融資する場合は必ず保証会社を付けることになります。するとどうなるか。
一般的に、消費者金融や信販会社より、銀行のほうが同じ額を借りていても返済月額が少ないことがほとんどです。そこだけを見るといいことのように思えますが、返済額が少ないのに利息がしっかりかかるということは、利息ばかりを返済することになって元金が減っていかないということです。
銀行の最低返済額に合わせてライフスタイルを決定すると、それ以上の返済をするような余裕はなくなり、いつになっても減っていきません。銀行は長期間の取引であればあるほど利息で潤います。もし借りた方が払えなくなったとしても、保証会社が代わりに全て立て替えて払ってくれますので、銀行にダメージはありません。したがって、月の返済額を上げないほうが銀行にとっては有利なのです。
月額が少なく済んでラッキー、と思っているのは借りた側だけではないのです。
上記のとおり、おまとめローンは一歩間違えると一気に債務が膨れ上がる危険をはらんでいます。実際のところ、複数社との取引において、追加で利用もせず問題なく毎月払えているがなかなか減っていかない、管理がややこしいので支払日を揃えたい、という方以外は安易に手を出さないほうがよいように思います。どうしてもという場合、手取りから生活に必要な経費を差し引いていくら残るのか、そこから返済にいくら回せるのかを確認するまでは決して申し込まないとするほうが賢明です。
現時点で生活状況的に楽ではない場合、銀行が利息を総取りするだけのおまとめローンよりも、債務整理のほうが圧倒的に効果は高くなります。なのに、なぜおまとめローンを検討するのでしょうか。この答えはひとつしかありません。
おまとめローンの場合は債務整理と違い、信用情報に傷がつかないため、追加で借りたり、新しいカードを作れる可能性があるからです。しかし、よく考えてみていただきたいのです。ただでさえ今ある負債の返済で大変な思いをしているのに、まだおまとめ後にそれ以上に追加で借りようという算段なのでしょうか。そうであればどこかで線を引き、ひととおり返済が終わった後で堂々とローンを組んではいかがでしょうか。
このように、足りない部分を借りて済ませてしまう癖のある方が、おまとめローンに手を出してしまうと、予想以上の返済を強いられることになり、結果は明らかです。
現在自転車操業になっていてご生活が厳しいと感じる方は、おまとめローンでも同じ話になります。それどころか、より厳しいことになりかねませんので、安易に動いて取り返しがつかなくなる前に、まずは専門家にご相談いただくのがよいのではないでしょうか。
現状からどれだけのことができるか、お答えいたします。一度ご相談ください。
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